バベシア症
- by すざき動物病院
【症状】
赤血球が破壊されて起こる貧血を溶血性貧血といい、この溶血性貧血に伴う症状が主にみられます。飼い主さんが気付かれる症状としては、①発熱、②元気食欲 消失、③運動不耐性(疲れやすい)、④血色素尿(濃い黄〜茶色の尿)、⑤可視粘膜(瞼の裏や歯茎)の蒼白 などがあります。その他に血小板減少症、黄疸、 脾腫などが認められます。また、バベシア症に続発した免疫介在性溶血性貧血を起こす場合もあります。
バベシア症で貧血している犬の可視粘膜
正常犬の可視粘膜
【診断】
確定診断には次の2つの方法があります。
①血液塗抹標本で原虫を確認
病院内でできる検査です。しかし、原虫の寄生数が非常に少なくても症状は現れるため、血液塗抹標本では確認できない場合もあります。
②遺伝子検査または抗体検査
外部検査センターに依頼する検査です。バベシア症の疑いがあり、血液塗抹標本で原虫が確認できない場合などに行います。
【治療・予防】
バベシア原虫そのものを予防する方法は確立されていません。マダニが媒介する病気であるため、マダニ予防が重要となります。バベシアに感染してしまった場合は、抗生剤や抗原虫薬で治療します。適切な治療を行えば多くの場合は症状、検査所見ともに改善します。しかしバベシアを体内から完全に排出することはできないため、他の疾患や麻酔などのストレスにより再発することがあります。