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不完全型心内膜床欠損症 人工心肺手術

不完全型心内膜床欠損症 人工心肺手術

心内膜床欠損症とは、生まれつき心内膜床と呼ばれる、心臓の中心部心房と心室が交わる部分に欠損が生じる病気です。

 

心室中隔欠損を伴う完全型と伴わない不完全型があります。
僧帽弁や三尖弁などにも異常を生じる場合があります。
根本的な治療には欠損した心内膜や異常を生じた弁を整復する必要があります。

柴犬 1歳
少し息が荒い時がありましたがその他に目立った症状はありませんでした。
生後6ヶ月の時に他院で心雑音を指摘され、確定診断の為に当院に来院されました。

初診時のX線検査では、顕著な心拡大が認められます。
 
超音波画像では、右心系の肥大と心房中隔欠損が認められます。
 血液の乱流が認められます。
 三尖弁の逆流が認められます。
以上の検査結果を総合して、不完全型心内膜床欠損症と診断しました。

その後、呼吸数が増加したり、疲れやすくなったなどの症状が見られるようになったため、飼い主様と相談の上、手術に踏み切る事になりました。

手術では、心房に開いた穴をゴアテックスの膜で塞ぐ事、そして変形した僧帽弁の形を整復しました。

右心房を切開し、僧帽弁を確認しています。

欠損を整復しています。        心臓を縫合しています。
手術中は、心臓にメスを入れるため、一時的に心臓の動きを止め、人工心肺装置を用いて手術を行いました。


術後のX線です。術前より心拡大が良化しています。

心臓外科手術は難易度の高い治療になりますが、この子は本当によく頑張ってくれました。術後、呼吸も楽になり経過は良好です。