Portosystemic shunt
門脈体循環シャント
門脈シャント(PSS)は門脈の血管異常によって様々な症状を引き起こす病気です。本来門脈内の血液は肝臓に流れ代謝されますが、この疾患では門脈と大静脈(後大静脈または奇静脈など)に短絡血管が存在し、門脈の血液が代謝されず、全身の循環内に入っていきます。その結果アンモニアなどの代謝異常が起こり、肝性脳症などがおこります。
一般的に手術の必要がありますが、重度であったり手術時期が遅い場合は肝不全により死亡する可能性のある病気です。
症例はこちらDigestive tract foreign matter
消化管異物
わんちゃん、猫ちゃんが急に吐き始めた、なんて事はありませんか? 私たちが知らない間におもちゃを食べてしまったり、お肉に付いた大きな骨を食べてしまったり、紐で遊んでいる間にその紐を食べてしまったり・・・。 自分で吐いて出したり、便から出てくればいいですが、出てこない、調子が悪い場合はそのまま放っておくと大変な事になる場合があります。
症例はこちらBladder stone
膀胱結石
わんちゃん、猫ちゃんにも、人間と同じように膀胱結石が生じる場合があります。 原因は、食事や飲み水、体質だと言われています。 症状は、頻尿、腹痛、血尿など様々です。 尿道に結石が詰まってしまい排尿困難になる場合もありますので、おしっこが出ない、少ないという場合は注意が必要です。
結石には色々な種類があります。 ①リン酸アンモニウムマグンシウム②シュウ酸カルシウム③尿酸塩などです。 結石の種類によっては、結石を溶解する処方食のみで治療できるものもありますが、食事や薬で対応できないものもあります。
症例はこちらRight aortic arch remnant
右大動脈弓遺残(PRAA)
お腹の中にいる時は胎児は肺循環が行われないため、右大動脈弓を使用し、生後その血管は閉鎖して消えてしまいます。しかし、まれにこの血管が残ってしまう場合があり、右大動脈弓遺残(PRAA)と呼びます。PRAAでは遺残血管により食道が狭窄するため、食後すぐの吐き戻し(吐出)がみられます。特に固形物は食道の狭窄部を通過しにくいため、離乳後に吐出が顕著となり、発育不良や誤嚥性肺炎を引き起こすこともある疾患です。 治療は、手術で遺残血管を切断します。
症例はこちらTracheal collapse
気管虚脱
気管は喉頭から肺の間にある管状の組織です。気管虚脱はこの気管が押しつぶされたように変形し、呼吸困難を引き起こす病気です。加齢と共に進行性で重度な場合は呼吸困難により死に至る可能性のある病気です。
症例はこちらPyometra
子宮蓄膿症
膿や血液のような分泌物が外陰部に見られ、元気消失、発熱、食欲不振、多飲多尿、外陰部の腫大などの症状が現れます。(分泌物以外には無症状の事もあります。)その他、腹囲膨満、嘔吐、などの症状も見られることがあります。子宮蓄膿症と診断された場合は早期の手術により治ることが多い病気ですが、細菌感染が重篤化すると、敗血症となり死亡する可能性のある病気です。
症例はこちらSoft palate over-long disease
軟口蓋過長症
この病気にかかりやすい犬種はパグ、フレンチブルドック、ブルドック、シーズーなどの短頭種です。 軟口蓋は気管の入り口に位置する柔らかい膜です。この膜が長く伸び、息を吸うときに喉頭蓋にかぶって気管の入り口をふさいでしまう病気です。
寝ている時にいびきがひどい、鼻を鳴らすような呼吸をする、などが症状です。 興奮時に症状が悪化する傾向があります。重症になると、呼吸困難やチアノーゼを起こします。
手術で軟口蓋を切除する事によって呼吸が著しく楽になる子が多いです。 軟口蓋を切除しても、身体には何の影響もありません。
症例はこちらUreteral obstruction
尿管閉塞(水腎症)
腎臓から膀胱への尿の通り道(尿管)が閉塞することを尿管閉塞といいます。尿管閉塞によって腎臓から尿が流れなくなり、腎盂が拡張した状態を水腎症といいます。
尿管閉塞は、尿管結石や腫瘍などが原因で生じます。閉塞が続くと、食欲不振や嘔吐、昏睡といった尿毒症の症状を示し、早期に処置しなければ生命に関わります。また、犬の尿管結石は細菌感染を伴うことが多いため、敗血症を起こす場合もあります。
症例はこちらUrethral obstruction
尿道閉塞
尿道閉塞、俗にいう尿閉というのは、尿の通り道である尿道が閉塞する事で、通常は雄に生じる事が多いです。 犬では、尿道結石によって陰茎骨の手前で閉塞する事が多く、猫では重度の膀胱炎や尿道結石などに関連して発生する事が多いようです。 特に猫は、冬などの寒い時期では飲水量が減少する事によって排尿量が減少します。そこで、膀胱炎や結石の発生率が上昇し、尿道閉塞に陥ってしまう子が増えてしまいます。
尿道閉塞を起こした犬は、落ち着きがなくなり、排尿しようと排尿姿勢をとったり力んだりします。猫は、何度もトイレに入り、しきりに力む様子が見られます。
全く排尿できず尿閉が持続すると、膀胱が尿で膨張し、触ると痛みが出て来ます。 排尿できなければ食欲不振や嘔吐、昏睡といった尿毒症の症状を示します。膀胱破裂や腎機能の低下を引き起こして命に関わる場合もあります。
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